登 場

写真01 1974年(昭和49年)のMGC ニュースに載っています。このころから新規の規制が取り沙汰されていたようで、MGC ニュースにも規制見送り記事などが掲載されています。 →こちら

実際には3年後の昭和52年に新しい法規制が発効されました。
その結果、鉄を材料とするモデルガンは販売禁止となり、ステンやMP40、このスターリングなどは販売できなくなりました。

チラシに見られるように MGC は、もともとM16 E1 をメインに宣伝していましたが、このようにM16 A1 もラインナップに加わりました。 以降は、M16A1 の方がメインで売られたような気がします。

よくみるとMGC ニュースのスターリングは、フロントスイベルの付け方が製品とは違っています。


外 観

写真00
MGC スターリングは、カナダのC1サブマシンガンを再現しています。きっと取材するのに本家のスターリングよりもカナダのC1 に伝手があったのでしょう。
写真08 写真09

左がイギリスのスターリングで右がカナダのC1ですが、排莢口と先端部にあるハンドガードの形状が丸と四角になっています。 右写真は後で紹介するカナディアン・ミリタリ・ポリス・ミュージアムのページにあります。


写真14 MGC のハンドガードはC1形状なので四角形ですが、銃剣取り付け部は省略されています。 右写真は、S&T 電動ガンとの比較

ここの部分のお話です。 →


写真07 上がMGCで下がS&Tの電動ガンですが、MGC のハンドガードは四角く作ってありカナダのC1 を模しています。 S&T の方はイギリスのスターリングを再現しており丸形です。 大きさは、どちらが正確なのか分かりませんが、S&T の方がMGC よりもひと回り大きいです。

写真11 ちなみにJAC さんが、かつて作っていたスターリングはMGC より細いです。

写真は上からJAC 、MGC 、S&T です。

実物マガジンをすこし加工してMGC に付けているのを見たことがありますが、大きさ的にはOKでした。


写真03
たったの3年くらいしか生産されていないのですが、パーツのマイナーチェンジがあったようです。

トリガーが亜鉛の物が初期型で、右の鉄板プレス品が後期型です。グリップフレーム内側も後期型にはサブフレームが入っているそうです??


カナダ・C1 サブマシンガン

写真18

MGC のスターリングは、カナダでのライセンス生産モデルをコピーしていると言われていますが、やっとカナダのC1 を探し出しました。 なかなかフロントが写っている写真は、少ないです。

写真23 カナダ製から銃剣装着プレートを外してスリングスイベルを取り付けたものがMGC 製です。 銃剣は付けたくなかったのでしょうね。

右の写真は、左が英国標準マズルの電動ガン、右がMGC モデルガン。
S&T 電動ガンにウインドラスの N0.5 バヨネット を合わせるには、本体の円をかなり削らないと合いません。


写真19 写真39


実銃と比較

写真17 カナダのガンパーツのページから取ってきた写真ですが、本物のコッキングハンドルは曲がっています。
写真21 MGC と実物の大きな違いは、フレーム取りにあります。図のように実物は、グリップフレームが存在しています。 また、トリガー機構はグリップ右のネジをFREE に合わせ抜くと、スポッとアッセンで取り外せます。

図は、カナダのC1 ですのでトリガーハウジングはプレス製になっています。 また、機構もマーク4とは全然違うものになっています。

実物では、バレルは後方へ抜きます。
銃前面のプレートは外れません。


うんちく

写真22 参考資料の書籍から取ってきたものですが、マーク4と、カナダC1はトリガーシステムが全然違います。 図の左側がマーク4で右がカナダC1です。

それまでのアームを介してシアを動かしていたものが、C1 ではトリガーが直接シアを動かすようになっています。 MGC も形は違いますが、C1 のような機構をしています。

↑の参考書籍タイトル(素晴らしい本です)
A History of the Small Arms made by the Sterling Armament Company

メ カ

写真12 写真13

エキストラクターは鉄板2枚折りで丈夫に作られています。発火遊びが前提のようです。 ボルトハンドルは、実銃と違って真っすぐですが、普段は抜けないようにリコイルスプリング用のミゾが切ってあり それで抜けないようになっています。


マガジン

写真15 MGC のマガジンは実に良く出来ています。ただ実物にある特徴的なローラータイプのフォロアーは再現されていません。 また、実物の9mmパラベラムはテーパー状のケースのためにマガジンが湾曲していますが、モデルガンではストレートな カートのため、MGC マガジンは見た目はバナナ状ですが中身はストレートになっています。


エジプトカスタム?

写真04 レストア依頼でお預かりしたものですが、おおさじ山盛り3杯のサビが出てきました。 メッキのスターリングなんて珍しいと思って調べてみましたら、どうもエジプトによるカスタムのようです。 あまり存在していないようです。トリガーがメッキされたものもあったようです。

気になったのは、火薬を使用したままほったらかしにしたオーナーさんは、どうなったのでしょう? と、いう事です。そもそものオーナーさんは、今回の依頼主さんではないと思います。エジプト製品を持っている人に 分解洗浄が出来ない人なんていないでしょう。エジプトのガンはチョーク式発火なので撃ったらすぐに洗っておかないと あとが大変になります。そんなことは100も知っている人しかエジプト製品のオーナーには、なれません。だいいち売ってもらえません。 ですから、このスターリングのように撃ったまま、ほったらかしているということは、オーナーさんに大変な出来事が起こった可能性があるんです。 なんだか、悪い方の想像を巡らせてしまいます。

参考にさせていただいたreybow さんのブログ
https://ameblo.jp/reybow-2019

分解注意・フェイクネジ

写真05 写真06

MGC 製品に見られるフェイクネジに注意です。良く出来ているので思わず回してしまい、痛めてしまいます。 バレルの六画ネジはフェイクです。間違って一つ回してしまいました。

グリップのネジもフェイクです。回すと欠けて悲惨になります。 グリップをバラす時には、タナカのガスガンSAAのベースピン分解ツールがちょうど良かったです。


ロールスロイス

写真28 写真29 写真30

これらの写真は、アメリカで売られているスクラップですが、スターリングがサブマシンガンのロールスロイスと 呼ばれる意味が分かります。ボルトに刻まれたライフリングのような溝によってボディ内の砂などを落として 正常に発射されるようになります。またイギリス製には特殊な塗装がしてありサビには無縁となっています。 また、同じ9mmパラベラムを使用するMP−40やステンなどがダブルカアラム・シングルフィードなので いまいちマガジン性能が良くないのと違い、スターリングはダブルカアラム・ダブルフィードでしかも バナナ状に湾曲していてスムーズな給弾を約束しています。

必見!参考ビデオ

写真34 こちらのビデオには、泥に付けても正常に撃てますという実演が載っています。
url はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=WMuUpI8ro_g


発火

写真10
友人が粉を入れたカートで発火したときのビデオから取った写真です。
なかなかの迫力です。

スターウォーズ

写真31 スターリングと言えば、映画スターウォーズに使用されたことが有名です。
レイア姫が撃つたびに目を閉じていたのが忘れられません。


写真32 写真33

写真はディズニーランドで売られていたらしいオモチャですが、大きさと言い形と言い良く出来ていると思います。 また、どのような色にすれば嫌悪感を感じさせないかの勉強にもなりそうです。


重箱の隅隊

MGC のネーミングは、M-16 E1 というのを見てもやや怪しげなものを感じますが、このスターリングも 完全に間違っています。マーク5として売り出されていますが、実際はおそらくカナダのC1でしょう。 また、本家のスターリングのナンバーで言えば、マーク4が近いものだと思います。

実銃は初めのころは設計者の名を取ってパチェット・マシン・カービンと呼ばれていました。

typeNamedatepic
ProtoPrototype
Patchett
1942
MkIPatchett
Machine
Carbine Mk I
1943少数実戦投入
後期モデルでNo.5 バヨネット装着可
MkIIL2A11944
1953
正式採用
MkIIIL2A21955ここからパチェットではなく、スターリングと呼ばれる
Mk4L2A31955完成型
Mk5L34A11967サイレンサータイプ
Mk6Carbine1970米国向け長バレル
Mk7Pistol1983短銃身のピストル型
Mk81983クローズドボルト、単発式

スターリング社は、、1988年に倒産したようです。


チラシなど

写真25 写真27
写真20 写真35

紙 箱

写真20 5,6年以上前にネットで収集した画像です。勝手に使用です、すみません。

MGC の箱には、はっきりとカナダのC1って書いてあるんですね、知りませんでした。


MGC 分解図

分解図_1 分解図_2

分解解説図


おまけの実銃断面図

マーク4とマーク5 の実銃断面図

分解図_1 分解図_2



参考ビデオ

写真25

↑の参考ビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=ruD5b_T2DtU

おわりに

写真38 ずいぶん前に一度書きかけて、ほったらかしていたので、この度追記したのですが、なんだか 支離滅裂状態になっちゃいました。情報量はあるとは思うのですが、流れるような筋書きではないですね。 一気に書く時の方が流れが良いのですが、あれやこれやと情報を得てしまうと、あれも追加、これも追加と まとまりのない物に仕上がっちゃいますね。
まぁ、情熱が分かっていただけましたら、どうぞお許しください。