伝説のタマゴ
2025年のプロ野球日本シリーズは、ソフトバンクホークスが優勝して、福岡県民としては大変うれしかったのですが、 関東以北の方たちにとっては、どうでもよかったのかもしれません。でもほぼ同時進行だった大リーグのワールドシリーズには 興奮させられたのではないでしょうか?大谷、山本、佐々木と日本人の活躍にくぎ付けでした。 おそらく25年の一連の試合は、伝説として語り継がれていくことになるのではないでしょうか?
伝説ってものは、事象が起こってすぐに出来るものではありません。
多くの人が永い間語り継いで伝説が生まれるのです。
今回のご紹介は、そういった将来伝説になりうるタマゴの紹介です。 ホビーフィックスさんが、その機械加工技術を屈指して真鍮の塊から削り出しで作ったガバメントのモデルガンです。 種類としては戦前ナショナルマッチの刻印です。ほかにもガバはいろんなシリーズが作られました。A1 ではない1911ものや、ゴールドカップ、超初期型などなど。噂では、もう作らないとのことなので、タマゴではなくってすでに伝説と化しているのかもしれません。
外 観
機械加工が好きな人には、この刃物の切削跡がたまりません。この一筋一筋ごとに刃物が動いた証です。少しずつ動かすたびに 木材の年輪のように切削跡が刻まれます。線が近いほど刃物の移動距離は短くなっています。移動が速いと切削線の間隔があいてきます。移動距離が短く年輪が狭いほど表面はなめらかになります。
図面通り切削
右のように図面通りに切削していますので刃物の跡がきれいに残って見えます。実銃では、真ん中写真のこのラインはサンダーをかけられて
消されてしまいます。
また、3枚目写真のトリガーガード上部の少しの段差も削られて消える処理をされている実銃も多いです。
- 右の図面は下記検索語で誰でも無料で入手できます。
M1911-A1_REDUX.pdf
超絶バレルラグ
バレルのロッキングラグの精度は凄いです。スライドから外れません。実物より精度を上げているでしょう。 チャンバーに安全切り欠きがあり、左側にはバレル本体にも切り欠きがあります。
バレルリンクが後方まで回る実物どうりの加工は、むかしからホビーフィックスさんだけです。 ただ後方まで回らない方が組み立てはしやすいです。
4枚目写真のMBマークは1935年ごろから入れらた、ナショナルマッチ用バレルのマークのようでマッチ・バレルの 略だそうです。
たまらんライン(変態)
この写真のマガジンキャッチのマイナスネジの右上2時方向のカーブをよく見てください。
トリガーガードの周囲を深く削った後に1911A1 の特徴である半月型を切削するとこのように微妙なラインが浮かび上がります。
モデルガンでは、たいてい一連の曲線で表現されることが多いところです。六研のガバメントも見たことがありますが、なんと一連のカーブでS字を描くように切削されていて、びっくりしました。なんのこと言っているのか分かりにくいですね、すみません、まさに切削おたくの変態でした。
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変態ついでに言わせてもらうと、金属ゲージの精密加工されたものは、十字に合わせてそれを押さえながら並行方向に重ね合わせると、ぴったり引っ付いて取れなくなります。接着剤も無いのにです。
再び離すには、十字方向に回さないといけません。私は若いころは、このような精密ゲージなどに惚れてしまう金属変態野郎でした。(ひょっとすると今でもか?)
メ カ
メカはごく普通ですが、クリアランスがギチギチに狭められています。かといって作動に抵抗があるわけではありません。 恐ろしいくらい正確に作られています。おそらく実物では2,3発撃ったら硝煙のカスで動かなくなってしまうかもしれません。 発火しないモデルガンだからこその驚異の精度です。
右写真は亜鉛合金のホビーフィックス・ガバメントとの比較です。
もちろん右が真鍮モデル。
非発火モデルなのでファイリングピンの出る穴はありません。
また、ネット情報ですがFピン周りは分解できなく
なっているそうです??
シュオーツ・セフティ
おそらく日本で初めてのシュオーツセフティを装備しています。 これは、ファイアリングピンをロックするもので、グリップセフティによって解除されます。 実物のガバメントでは、1937年のコマーシャルモデルに採用されています。軍用では存在しません。
- パテントはこちら
https://patentimages.storage.googleapis.com/59/7d/ee/2b8a19e4ca9979/US2140946.pdf
- 参考書籍(フランス語)はこちらで検索
Les Pistolet Colt - 100 ans de production
- 参考書籍(フランス語)はこちらで検索
謎のケガキ線
この真鍮モデルには、左右のスライド表面の中央付近に、まるで中心線を引いたかのようなケガキライン?が見られます。
まぁ、ケガキ線では無いのでしょうが、どうしてこのような線がついてしまうのか私には分かりません。謎です。
CMC と比較
メートル原器のように間違いない寸法のガバメントなので、CMC 3型 のモデルガンと比較してみましょう。 私は最近になってCMC 3型 ガバが本物よりも少し小さいということを知りました。その時には、すこしショックでしたが まぁ、時代がそれを求めていたのかもしれません(実銃と寸法違いが正義)。ZEKE と並べてみると数ミリ短い事が分かります。
右は、CMC 1型(2型と寸法同じ)と並べてみましたが、やっぱりすこし短いのですね。
MGC 、ELAN と比較
じゃあ、MGC のGM-1 と比べてみましょう。あれっ?MGC も短いのですね。グリップフレームが短いことはよく知られていましたが 長さも少し短かったんですね。ちなみに右写真はエランさんと並べていますが、言うまでもなく同じサイズです。
HF 亜鉛と比較
さすがに自社製品だと同じサイズです。メッキ仕上げも最高で写真だけだとどちらが真鍮か分かり辛いです。
HF プラと比較
プラ製のメガウエイトと刻印比較です。お馬さんの形が違いますね。
本物は右写真のようですので、プラ製より真鍮製の方が合致しています。
写真の実物は1937年製でシリアルも10番くらいの違いなので真鍮モデルとは兄弟のようなものです。
- 実銃の写真はこちら
https://www.oldcolt.com/collections/colt-national-match/products/colt-national-match-45acp-sn-c188036-mfg-1937
真鍮あるある
真鍮モデルを持ったことがある人には、すぐに分かるでしょうが写真のように木製グリップの湿気で変色しています。
真鍮モデルは、指の油などでも変色しますので、うかつに触ってしまって置いたら次に出した時に指紋がバッチリ変色して
残っていた、なんてことはよくあります。ニッケルメッキモデルなども気を使いますね。
いずれも手袋で触る人が多いようです。
伝説のために
いままでは高級なモデルガンと呼ばれてきたでしょうが、新作のオートは望めないようなので、すでに伝説と言われる道が始まっているようです。
ホビーフィックスさんは、もともとモデルガン製造の時のブランドで、ZEKE というのはエアガンの金属外装キットのブランドで住み分けていたようですが、
10年くらい前からの真鍮削り出しモデルは、ZEKE ブランドとなっています。ひょっとすると製造、販売と会社的には二つ存在するのかもしれません。
ここで将来に伝説を掘り起こす若者たちのために私がリアルタイムで知っている情報を書きとどめておきたいと思います。
ZEKE 真鍮オート・モデルガン製品群
(ほかにエアガン用メタル外装は数多くあり)| 年代 | モデル | 備考 |
|---|---|---|
| 2010年 | ブローニング1910 | マガジン無し |
| 2010年 | コルトハンマレス | |
| 2012年 2013年 | ガバメント | 各種タイプあり |
| 2012年 | ワルサーP38 | |
| 2014年 | ルガーP08 | バレル長3種あり |
| 2017年 | ワルサーPP | 刻印2タイプ? |
| 2017年 | ワルサーPPK | 刻印2タイプ? |
| 2019年 | コルトハンマレス | ハンマキットでフルオペ |
| 2019年 | ガバメント | 1911型各種 |
| 2020年 | コルトベストポケット | |
| 2023年 | ワルサーPPK | 戦前、戦後タイプあり |
(年代はTakeFive さんのブログから推定しています)
六研製品は多くの人がWiki に第何期ガバなどと調べ上げていますので、ZEKE さんの製品もきっと上の表を将来、いろいろな方が訂正や内容を埋めて完成させてくれることでしょう。
参考書籍
-
福野礼一郎 人とものの賛歌
- Colt .45 Government Models(Commercial Series)
おわりに
ここに登場のガバメントは、オーナー様によりハンマー部品が当初と違うものが組み付けられているようです。
過去の資料を調べると当初は真鍮製のようです。