何がおかしいかというと、357マグナムの銃なのに45ACP がクリップ付きで置いてある。8連発なのにシリンダーのノッチが 6連発用だ。しかしGun 誌 の表紙にはそっくりである。このあたりがおかしなところです。
実は、Gun 誌の写真はモデル625−10というモデルのプロトタイプです。625−10 というのは、45ACP を撃つ物で2003年に発表されました。 少数生産されましたが、現在では作られていません。このプロトタイプにタナカさんの327はそっくりなのです。
ネタバラシ
一番上の写真にある2003年 5月号の中の記事にあるように、この年のショットショーで625−10 は発表されました。 右写真のようにシリンダーはタナカの455用の物を借りて625のふりをして撮影しています。 357マグナムより短い弾用のシリンダーなのでフォーシングコーン部には、すき間ができています。 残念ながらエキストロッドのネジピッチが違う様でエキストラクタは入れられませんでした。 写真のハーフムーンクリップは、ハドソン1917の物です。プロトの特徴
実際に生産された625−10、625−11、327-2in は、左写真のようにフロントサイトがアリ溝結合されています。 しかしプロトタイプは、右写真のようにピン結合です。おそらくの想像ですが、バレルが短いGun は反動が半端なく大きいようで ピン結合のフロントサイトでは持たなかったのではないかと思っています。
ちなみに右のプロトタイプの写真は、たいへん珍しくサイドプレートが周りと少し違った色になっています。材質は同じだそうです。このことは、スタンダード・カタログ・S&W に記述されています。もっと大きな写真が良いのですが探しきれませんでした。
- 右写真のネタ元
https://www.genitron.com/Handgun/Smith-Wesson/Revolver/625/45-Auto/Variant-3
625-10、白と黒
3枚目写真に見られるように、625-10 はリアサイトがVノッチですね。
- 白い方のURL ↓
https://www.guns.com/firearms/handguns/revolver/smith-&-wesson-model-625-10-45-acp-semi-auto-6-rounds-21-barrel-used?p=544747&soldout=1
- 黒い方のURL ↓
https://www.invaluable.com/auction-lot/smith-wesson-model-625-10-45-acp-revolver-2141-c-4614048abc
625ー10について、一人の方の詳しい発言がフォーラムにありましたので それを表にまとめてみました。ただし、正確度は分かりません。
品 名 | 登場 | 口径 | カラー | 生産数 |
---|---|---|---|---|
625-10_1st | 2003 | 45 ACP | 白磨き | 300 |
625-10_2nd | 2004 | 45 ACP | フレーム黒色 | 200 |
625-11 | 2005 | 45 CLT | 白磨き | 103 |
SAA に使う45コルトの弾は、全長が長いので625−10に比べフォーシングコーンが
すごく短くなっています。
↑のネタ元
https://smith-wessonforum.com/s-w-revolvers-1980-present/98436-s-w-625-10-45acp-performance-center.html
625、327の登場時期
発 表 | 名 前 | 口 径 | 装弾数 | バレル | シリンダ | フレーム |
---|---|---|---|---|---|---|
2003年 | 625-10 | 45 ACP | 6 shot | ステン | ステン | スカンジウム |
2004年 | 625-11 | 45 colt | 6 shot | ステン | ステン | スカンジウム |
2004年 | 327-Sc | 357 Mag | 8 shot | ステン チタン・シュラウド | チタン | スカンジウム |
ネットでの情報なのでどこまで正確なのか分かりません。
表にあるように327はチタンのシリンダーを備えた高級品です。また、バレルシュラウドもチタンとして色合いを合わせています。
3と6、数字の意味
モデル・ナンバーの625の6とは、S&W 社にとってはステンレス製を意味します。327の3は、軽合金を意味します。 両方の銃はフレームが同じスカンジウム配合のアルミ製なのでシリンダーの材質違いで番号が違っているのでしょう。重さは ステン >チタン >スカンジウム のようです。
なので、625とはステン製のモデル25=45口径と、いうことで、327は、軽合金製のモデル27= 357Mag となります。
左は、むかしのモデル25の写真、URL は↓
https://hindmanauctions.com/auctions/1304-arms-armor-militaria-online/lot/1264 |
タナカと実物・写真比較
S&W のホームページに奇麗で大きな327の写真がたくさんありますのでタナカのモデルガンと比較してみましょう。うーん、タナカさんは、もともとモデル625−10のプロトの形なのでビミョーに形が違いますね。 また、R8と違って327は、リアサイトがスクエアノッチですね、やはり慣れたもののほうが落ち着きます。
では、次に327と625−10が同時に写った写真がありましたので、それにタナカさんを重ね合わせてみます。
RIA 写真比較
上はロック・アイランド・オークションの写真にタナカを合成していますが、どうでしょうか?どちらかというとグリップが短いせいもあって、625の方に似ていると思いませんか?
タナカさんのモデルガンをカスタムするのであれば、バレル形状を少し変えてシリンダと共にチタン色にして327を目指すのか 6連のシリンダを調達して625−10or 11を目指すのか、考えどころです。
- ネタ元↓
https://www.rockislandauction.com/detail/1032/1218/two-boxed-smith-wesson-double-action-revolvers
メ カ
なかなかにキッチリ出来ていて分解組み立ても気持ちが良いです。ヨークのシリンダシャフトには注油のためなのか穴が開けられています。
ヒラリー・ホールと呼ばれるインターナル・ロック機構は、素晴らしく再現されています。左の実物写真と比べて見て下さい。 この鍵穴はタナカさんは、六角で省略してありますが、本物はスター型のようで中に凸もあります。
この鍵穴の件では、S&W 社は魂を売ったと言われて、そうとうに反感を買ったそうで、現在ではインターナルロック無しの
製品も選択できるようです。この件に対しては下記WEB 参照です。
真ん中写真のタナカさんのトリガーストップスクリューは、形だけのものでした。右写真のサイドプレートのピンですが、実物には存在しないのですが、このピンのおかげでサイドプレートがさっさと組み立てられるようで、なかなか良いのではないでしょうか?
- ヒラリーホールの事↓
https://www.concealedcarry.com/news/sw-viral-2a-statement/
- より詳しく訴えている方のページ↓
https://revolverguy.com/the-history-and-future-of-the-smith-wesson-internal-lock/
ボールロックの謎
左はタナカのモデルガンです、真ん中写真の実物をよく模しています。一番右はネットフォーラムからですがフロントサイトを変えていますね。ボールロックが上方にあります。書籍では625−11がそうなっていると読みましたが、この個体はフォーシングコーンから見て45ACP でしょう。625−10にも上方ロックがあったのでしょうか?この銃はカスタムっぽいのでやや謎です。
ボルトブロックの話
アマゾンの電子書籍で読めるたかひろさんの本のVol.6 に327が登場しています。内容充実で読み応えあります。 その中にボルトブロックの話が出てくるのですが、機能は強烈な反動でボルトが前進しないようにハンドと連携して ボルトをブロックする機構です。
左写真は他の人の youtube から、44マグナムのボルトブロック機構を示していますが、タナカさんの327モデルガンでは
その機構は再現されていません。
面白いことに、右の写真をご覧ください。モデル625−4という45ACP モデルですが、フレームにボルトブロックの溝は切られていますが、ハンドの軸は伸びておらずボルトブロックのパーツは存在していないようです。45ACP の5in 銃身くらいでは ボルトが前進するほどの反動は無いって事なのでしょう。フレームは、どのパターンにも使えるように切削加工はされているのでしょう。
- youtube ネタ元↓
https://www.youtube.com/watch?v=XlyXs7QCu88
- 分解WEB ネタ元↓
https://www.wlassh.nl/revolvertechniek/demontage-s-w-model-625-4
- 分解WEB ネタ元↓
参考WEB
アマゾン・25番 たかひろさんの電子書籍は、600円で読めますがキンドルを持っている人は無料ではないでしょうか? 内容充実でマニアックです。おすすめです、ぜひ読んでみてください。- アマゾンでの検索ワード
不定期刊 25番
625 トラブル写真
ネットフォーラムを見ていると、625−10の初期製品には、バレルの締めすぎによるクラック発生の欠陥による 破壊が見られます。S&W 社では修理せずに他の銃を推薦したようです。
また、こちらは単なるオーバーロードだと思うのですが、爆発しています。射手や周りの人は大丈夫だったのでしょうか? ハーフムーンクリップが見られます。
- 上記写真の元ネタ↓
https://castboolits.gunloads.com/showthread.php?280052-Finally-a-625
参考書籍
スタンダードカタログS&W 1万円くらい。
Standard Catalog of Smith & Wesson
おまけ
こちらは、実銃の分解図ですが103番にボルトブロックが見られます。
おわりに
タナカさんのWEB を見ますとモデルガンの327は2022年に発売となっています、ガスガンはもっと前に発売されたようですが 日付は載っていませんでした。どのみち一番最初の写真のように625−10のプロトタイプが発表になったのは、2003年ですから その後いくらでも設計をやり変える時間はあったと思うのですが、プロトの形のままで発売されたのには何故なの?っていう疑問が 残ります。ナゾです。このページは、327というよりも625−10の記事の方が多いと思うのですが、それには訳があります。 グーグル検索でs&w 327 なんて打つとタナカさんの記事や写真が載った日本語のページがいっぱい出てきます。 しかしs&w 625 と打っても英語のページばかりで日本語のページが現れません。こりゃぁイカンじゃないの、アメリカ人にとっておそらく45口径というのは魂のようなもので、それを撃つ銃も愛おしいに違いありません。そこのところを日本人も すこし理解する必要があるのではないかと思って625に重きを置いてページを書きました。 ご理解いただけたらありがたいです。