私たちは、終戦後からアメリカ文化圏の大きな影響のもとに暮らしています。 特に銃器関係は、情報源がアメリカ中心であり、また私たちが少年のころのテレビドラマは アメリカ産の物ばかりが放映されていて、先輩たちは西部劇に夢中になり、私の世代ではコンバットを燃えて見ていました。 そんな少年期を過ごしましたので、今でも米軍の銃器関係には特に興味があります。

そこで知らないことも多い米軍ミリタリーホルスター関係を時系列で調べて整理してみました。 それぞれの時代のレプリカ品が売られていますので、購入時の参考にどうぞ。


フリントロック用

写真01 フリントロックの時代は、銃が重いことと単発のためなのか2丁を馬の鞍にかけて使用したようです。 ポメルホルスターとかサドルホルスターと呼ばれるようです。上写真はネットより実物写真。

検索語  Pommel Holster   Saddle Holster 

写真02 銃はこちら代表、1836年型軍用銃

米軍のフリントロックの最終型だそうです。



パーカッション用

やがてコルト氏がウォーカーモデルを開発し世はパーカッション・リボルバーの時代に移って行きます。 ホルスターもフラップが付き、より銃をカバーするようになりました。

写真03 銃はこちら代表、ウォーカーモデル

こんなに重いのを2個もぶら下げられて、馬も大変だったですね。


銃の小型化

写真04 コルト社の意欲的な開発のおかげで大きく重かったウォーカーからドラグーンを経て 49ポケット、51ネービー、60アーミーと小さく軽く、しかし強力に進化してゆきました。 銃が小さくなったのでホルスターも小さくなって、よく見かける形になってきました。 上写真はネットより実物写真。

金属薬莢時代

いよいよ金属薬莢時代に入っていきます。1870年ごろからエンボス加工のUSマークが登場してきました。

写真05 銃はこちら代表、コルト SAA

メチャクチャ良いコンディションのオリジナル品です。値段もすごいようです。


S&W もあります

S&W スコーフィールドも正式化されていましたので、コルトとSW のどちらも使えるようにフラップに穴が二つ空いたものも 出てきました。
右の穴がS&W 用で左がコルト用だそうです。上写真はネットより実物写真。



ダブルアクション登場

写真08 1890年代になってきますとようやくスイングアウト式リボルバー、ダブルアクション拳銃が登場してきます。 拳銃の戦場での立場が無くなったのか、重要視されなくなったのか口径は38へと小さくなりました。

写真07 もしくは、初めてのスイングアウトの機構のため小口径になったのかもしれません。

右銃はコルト1892 口径は38ロングコルト

この個体は初期の物で右サイドプレートのシリンダー左回転モデルです。 このあと、ヨークが開く恐れを回避するのに右回転に変更されます。上写真はネットより実物写真。


やっぱ45口径だ
モデル1909

写真13 写真14 フィリッピン戦線で38ロングコルトがさっぱりだったので、あわてて45ロングコルトのSAA のバレルを短くして 現役復帰させ急場をしのぎました。上写真はネットより実物写真。

また、コルト社には大型リボルバを作らせて、モデル1909として制式化しました。 のちの1917と使用弾薬が違うのみで機構はほぼ同じものです。


オートマチック登場

写真09 上写真はネットより実物写真。
1900年代にいよいよオートマチックの登場です。 38ロングコルト弾がフィリッピン戦線で役に立たなかったので米国陸軍は45口径を正式化します。 それに伴いオートマチック拳銃が開発されました。言わずと知れたブローニングさんの設計、ガバメントの登場です。 ホルスターはモデル1912。

写真10 右の銃写真は、リアサイトがラウンドの
初期の1911です。


モデル1916

写真11 1916型は、スイベル式では無くなってより高い位置につるすようになりました。この形はガバメント拳銃が制式の間変わりませんでした。

ww2のころは茶色でしたが、ベトナム戦争のころには黒色になったようです。上写真はプラ製モデルガン。


モデル1917(M 2)

写真12 写真15 自動拳銃を制式化した米軍でしたが、生産は思うようにはかどらなかったので
急遽45ACP が使えるようにしたリボルバーも 制式化しました。

それがコルトとS&W のモデル1917です。上写真はハドソンとタナカです。右は実物写真。

ホルスターは1909型と同じものですがモデル2の名前で制式化されています。


M3ショルダーホルスター

写真16 1942年に制定された?もっぱら士官たちに使用されたようです。また戦車兵にも使用されたのでしょう。 リボルバー用とガバメント用がありました。上写真はレプリカ品ですが、リボルバー用にはカートが入れられるようになっています。どこまで正確に再現されているのかは、よく分かりません。ガバメント用にもカートが入れられるものもあったようです。

図面ではガバ用のみM3 と書かれていますのでリボルバー用もM3と呼ぶものかどうかはよく分かりません。


M4ホルスター

写真21 1917リボルバー用ですが、銃身先端部のリングが無くなって1916ホルスターのような穴が付けられています。 上写真はネットより実物写真。

M7ショルダーホルスター

写真17
1944年に作られたようで、M3 との違いは肩ひもの所にD環が付きました。 戦後も製作されたらしいです。上写真はネットより実物写真。

38ビクトリーモデル

写真19 士官などには軽いS&W 38ミリタリポリスが配布されたようで、6ケタのシリアルで管理していたS&W 社は100万まで行きついたのちは接頭語に勝利のVを付けたシリアルを使用しました。それで戦時下の軍用ミリポリは通称ビクトリーモデルと呼ばれます。

口径は38ロングコルトを強力にした38 S&W スペシャル弾で、現在でも最も一般的なリボルバー弾として流通しています。

写真左のタイプはハーフフラップ・ホルスターと言うそうですが、WW2 時代の物は、たいへん少ないようです。 ほとんどが黒く塗られたベトナム戦争時代の物だということです。

モデルガンはハートフォードとコクサイ金属2型ミリポリ。
ホルスタはレプリカです。


海軍38ビクトリーモデル

写真18 この形は、WW2 時代の海軍型のようです。レプリカにはUSマークがありますが、写真を検索したらオリジナルには、マークが無いものばかりです。上写真はネットより実物写真。

フェイク? 32コルト用

写真20 最近、安価な32オート用の軍用ホルスターが売られています。とりあえず購入してみましたがインド製のようです。 ただし、この形の物はネット検索でも見つけることは出来ません。おそらくトカレフタイプを模した創作ものでは ないかと思っています。
(トカレフは大きすぎて入りません)

32コルト自体は、戦争中士官などに用いられていました。写真はハドソン金属モデル。


参考書籍

写真22 左の本を参考にページを書かせていただきました。アマゾンで150ドルくらい。内容は濃いのですがモノクロ写真のみで、 まとめ方がイマイチわかりにくいです。題名のカートリッジ・ボックスというのはカートを入れるアンモポーチのことです。

右の本はWW2 に使用された拳銃の本です。K'z さんに教えてもらいました。アマゾンで60ドルくらい。こちらもモノクロのみですが 素晴らしい情報量です。特にハイスタンダードの紹介はありがたいです。あまり見ない記事だと思います。


おわりに

写真23 主だったものを書籍を参考にまとめてみましたが、他にもたくさんのホルスターが使用されていたようです。 また、レプリカも各タイプが用意されていて、Gun とお揃いで揃えるのが大変なのですがそれも楽しいひとときです。 10年前くらいは、実物ホルスターも適切価格で購入出来ていましたが、最近では高価になり手が出せなくなりました。 それで、良い出来のレプリカ品で満足するように脳をトレーニングしています。

助言ですが米国産の実物ホルスターは、 米国で購入する方が高いです。彼らは、そこに魂を感じるので価値が上がります。日本のオークションで見かけたときの方が かなり安価ですので、そちらをお勧めします(あくまで主観です) 。


オマケ

写真28
M 1912
写真29
M 1916
写真32
M 1(CANVAS)
写真26
M 2
写真24
Shoulder Revolver
写真30
M 3
写真27
M 4
写真25
Hip Revolver
写真31
M 7

右上の布製のモデル1は、人気が無かったのでしょうね。全然知りませんでした。
1932年の製品だそうです(書籍より)。