登 場
ミロクの長物の中ではわたし調べで、もっとも古くに登場しています。上写真のGun 誌 1963年3月号に見られます。とびらに出自が怪しいと書きましたのは、他の長物がすべて実物を参考に作られているのですが、 このマウンテンライフルのみ何を参考にしたものなのか、よく分からないからです。また、名前自体も はっきりとマウンテンライフルとは認識されていなくって、上写真のようにほぼケンタッキーライフルとも呼ばれています。
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もともとマウンテンライフルという語源は、バレルの長さを少し短くして、担いで持ち運びやすいようにした
ライフル銃の事みたいです。特に固有名詞ではないようです。
マウンテンの名前
1976年のGun 誌にミロクの実銃に付いての記事が出ていますが、その中の写真にモデル200Aマウンテンライフルとして 登場しています。モデルナンバーは一つ上の写真の右側にあるモノクロ広告と一致します。こちらは翌年のGun 誌の広告ですが、上六ホビーさんではマウンテンライフルなのですが、右のポストホビーさんでは モデル200のケンタッキーライフルとなっています。
外 観
機関部にはチープな渦巻きが彫られています。機関部を止める左側には、ふつうよく見られるプレートは存在していません。 ラムロッドはスチール製です。パッチボックスはかなり大きいです。この個体にはニッサンミロクを表す刻印が彫られています。 また、機関部の王冠マークから言うと1969年〜1974年のあいだの製造だと言えますが、ニッサンミロクの 刻印から1972年以降の生産だと思われます。
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ニッサンミロクとは、KFCブランドでしか売られていなかったミロク製銃器を自社ブランドで販売するために
日本油脂と合同で作った販売会社で、1972年からスタートし2008年に廃業したらしいです。
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https://chikatoshoukai.com/miroku-m1800/
- http://www.gunshop-tohshin.com/miroku/miroku_1.htm
こちら参考になります。
メ カ
機関部は、いつものシンプルな方式で、板バネのネジ止めが古い感じです。のちの機関部ではネジが無いものもあります。 チャンバー下部は、いつものように大きく機械切削されていて改造防止になっています。
八角バレルとラウンドバレルは溶接でつながっています。私はずっと八角バレルを途中から切削しているのだと思っていましたが 大間違いでした。八角部分はスリーブ状になっているのでしょうか。溶接してから穴彫っているのかな? もしも出来上がったバレルにスリーブを溶接したら、バレルがひずんで一直線では無くなってしまい、弾がどこに飛んでいくか分かりません。いやいや点付けだからこの程度はOKなのかな?
おわりに
ミロクの長物の中では、ちょっと格が落ちる感じのマウンテンライフルですが、オークションではあまり見かけないので 案外レアなのかもしれません。ストックの形状はなかなか良い感じです。このマウンテンのほかにもいろいろなパーツを組み 合わせたような名称不明のミロクの長物があるかもしれません。じっさい、そのようなものを時々オークションで見かけます。 何か不思議なミロクの情報がありましたら、ぜひお寄せください。オマケ
なかなか段付きバレルの実物写真が無いので、しかたなく外観が似ているペデルソリのケンタッキーの 写真と分解図を載せてきます。下記ページから分解図はPDF でダウンロードできます。
- https://www.davidepedersoli.com/en/product/kentucky-rifle-flintlock-model