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日本で初めて誰もが買える量産モデルガンとして登場したブラックホークです。
写真上がsm期で下がsmG期の物です。
ノンフルート・シリンダーで角型トリガーガードが44マグのスーパーブラックホークで
フルート・シリンダ、ノーマル・トリガーガードが357 マグのブラックホークです。
両者は基本的には、同じ物です。
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私自身、ルガー・ブラックホークの事は良く知らなかったので調べてみました。
「スーパー」が付いたり「ニュー」が付くのは、どう違うのかも知りませんでした。
下記に書籍からルガー社の有名どころを拾って列記しました。
一目瞭然ですね、44マグが「スーパー」です。また、「オールド」に対してトランスファーバーが付いた
2スクリューの「ニューモデル」が 357 と44 にそれぞれ存在するので4種類ということですね。
実は、3スクリューのコンバージョンモデルも存在したようですが、記載していません。
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Ruger 社の主な拳銃製品
年 | 名 称 | 口 径 | 解 説 |
1949 | 22 Standerd & Mark1 | 22LR | Ruger マーク1は出世作となった |
1953 | Single-SIX "Old" | 22Mag | 22口径SAAそっくり 3スクリュー |
1955 | Blackhawk "Old" | 30car,357Mag,41Mag 44Mag,45Colt | フラットトップにターゲットサイト 3スクリュー |
1958 | Bearcat "Old" | 22LR | 機構はSAA式 |
1959 | Super Blackhawk "Old" | 44Mag | 角トリガーガード 3スクリュー |
1963 | Hawkeye | 256Mag | シングルショット |
1971 | Security-Six | 357Mag | ダブルアクション,TFBあり |
1973 | New Model Single-Six | 22Mag | 2スクリュー |
1973 | New Model Blackhawk | 30car,357Mag 41Mag,45Colt | TFBあり、2スクリュー |
1973 | New Model Super Blackhawk | 44Mag | 角トリガーガード、TFBあり 2スクリュー |
1979 | Redhawk | 357Mag,41Mag,44Mag | ダブルアクション |
1982 | Mark 2 | 22LR | ブルバレルあり |
1983 | 357Maximum New Model Blackhawk | 357Maximum | 357Mag を伸ばした 強力弾使用 |
1985 | GP100 | 357Mag | ダブル |
1986 | Super Redhawk | 44Mag | ダブル |
1986 | Bisley | 22LR,32H&R | シングルNew Mdel Single-Sixのフレーム |
1988 | SP101 | 22LR,32H&R,357Mag | ダブル |
1993 | Vaquero | 44-40,45Colt,44Mag | シングル,SAAそっくり 2スクリュー |
1993 | New Bearcat | 22LR,22Mag | TFBあり |
注:"Old" と言うのは、後から分類上付けられている。
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ハドソンは、上記表のうち「オールド・ブラックホーク」を商品化したものだと思います。
このモデルは、同じフレームで44マグ口径まで存在していましたが、Gun 雑誌に44Mag で壊れたとの
記事に憤慨したビル・ルガー氏が「スーパー・ブラックホーク」を作りました。「スーパー」の方は、グリップがでかいので、ハドソンの物は357も44も同じフレームなので厳密に言うなら「オールド・ブラックホーク」と呼ぶのが本当でしょう。
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なんとも力強い姿です。コルトのSAA とほとんど同じなのに迫力があるのは
シリンダー上のフレームが相当に厚いからです。実銃も頑丈な事で有名です。
リボルバーのオーバーロードによる破壊は、シリンダー壁が吹っ飛びフレームのここがリコイルシールドのあたりで
千切れますが、ブラックホークはサイトのあたりまで太く作られていて、いかにも強そうです。
ハドソンsm 期の製品は、写真のようにワイドではないハンマーと、トリガーが着いていました。
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smG 期にワイドハンマー、トリガーに変更されました。写真はGun 誌1978年8月の
広告です。
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変更されたトリガーとハンマーです。断然ワイドの方が迫力ですね。
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オールド・ブラックホークは、当初「フラット・トップ」という
リアサイト部分のフレームが盛り上がっていない物でした。その銃は、Gun 誌1975年5月
のTurk 高野 氏のレポートにちょっとだけ写真が出てきます。現在ではコレクター価値の高い物だそうです。
1962年から盛り上がりサイトのフレームに変わったようです。
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こちらは、「オールド・スーパー・ブラックホーク」とハドソンsm 期の比較です。
トリガーは、実物はワイドにも見えます。じゃあハンマーとトリガーをsmG 期の物と交換すれば
「オレのsm期スーパー・ブラックホークは完璧だっ」 と成るかと言いますと、そうでもないのです。
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実は、スーパーブラックホークのグリップは、かなり大きいのです。
写真左は、実物ブラックホーク用の木製グリップで右は、実物パールタイプの
スーパー・ブラックホーク用のものです。両者ハドソンに合わせていますが、スーパーの方は
全然サイズが合いません。
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これだけ大きさが違います。右の実物スーパー・ブラックホークのグリップが
装着できる物はWA の亜鉛モデルガンだけだと思います。左上にあるように普通のブラックホークの
グリップは、シングル・シックスにも合うようです。
海外でグリップを買うときは、3インチオーバーかどうかで見分けるべきでしょう。
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シリンダーを比較してみました。左からコクサイM29、WA スーパー・ブラックホーク
です、3個は順番に短くなっています。ハドソン357は、44よりほんの少し短かかったです。
カートは44マグのダミーカートです。
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smG 期の物をバラして見ましたが、こんなところにバネが・・そうか、ハンドを押しているのだな
と気付きました。SAA と同じだろうと言う感覚でバラし始めましたが、気を付けないといけません。
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グリップフレームをバラしてみて「あれっ?」 トリガースプリングは、どこにあるの?
、と思ったらこんなところに付いているのですね。コルトの特許に触れないようにか、機構の必然性か
ルガーさんもずいぶん工夫しているようです。一体型グリップ・フレームにメインフレームとかみ合う
突起が見られます。丈夫な実物をよく再現しています。
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コルトSAA が進化したらきっとこんな感じになっていただろうというパーツ構成です。
ボルトにカムの逃げを設けないでハンマーのカム自体を可動にさせています。いい感じです。
ハドソンのこの個体は、カムが短かすぎてボルトの帰りが早く、シリンダーに傷をつける位置になっています。
カムのプランジャーをもっと長くする必要がありそうです。
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コクサイのM29 と同じ44マグ仲間です。触って眺めるだけの僕らとはちがって
、実銃の世界では撃って楽しむ物です。44マグナムにまったく興味を示さないコルト、たいへん高価なS&W を買うしかないのか?という市場に手の届きやすい価格で登場したブラックホークは、44マグを撃ってみたい
ユーザーに広く受け入れられました。
官の方ばかり向いているコルト、高品質高価格なS&W 、その両巨頭の中に「ユーザーの方を向いた」スターム・ルガー社は新興企業ながら大きく入り込みました。22口径のマーク1でデビューしたルガー社は、この銃によって大口径にも進出し会社は大きくなって行きます。ビル・ルガー氏の設計思想は素晴らしい物だと思います。
ハドソンが、日本ではまだメジャーでなかったブラックホークを一番に量産モデルガン化して
供給した事も素晴らしい選択だったと思います。このモデルは、現在でも販売されている息の長い物となっています。
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ご先祖様かも?
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日本で初めてブラックホークをモデルガン化したのは、ウエスタンアームズでした。
真鍮製の削り出しで高価なカスタムモデルガンで誰しもが買うことは出来ない高級品でした。
この写真は、1976年3月号のGun 誌の広告ですが。3スクリュー、ワイドではないハンマー、トリガーなどハドソンのモデルと
良く似ています。また、同年8月号には、ノンフルートシリンダーのスーパー・ブラックホークを広告しています。
いずれのモデルも3スクリューでオールドタイプです。44マグの方は、おそらく357タイプに角型トリガーフレーム、ノンフルートシリンダーを
装着した物ではないかと思います。ハドソンの出現も同じ8月ですので、なんらかの関係があるのかもしれません。
また、六研がベアキャットの広告を出した事もありましたが、販売された様子は無く、のちにハドソンから亜鉛モデルガンで
販売されている事も六研−ハドソン の関係が類推される事象だと思います。
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参考文献
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このページに登場した英語の書籍は、ウィルソン氏のこの本です。
R.L.Wilson 氏はコルトの本が多いのですが、芸術的な写真ばかりであまり参考になりませんが
この本は、時系列でルガー社の足取りを追っていてたいへん参考になります。
amazon.com などで購入できます。Ruger ファンにはお勧めです。
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おまけ
分解図のJPG が別窓で開きます。→
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